初代氷帝学園と私

初代氷帝学園のみんなが好きだ。
初めてミュージカルテニスの王子様で初代氷帝を見た時、あまりのクオリティの高さに度肝を抜かれた。本当にびっくりした。


そもそも私はテニスの王子様ドンピシャ世代では無いのでこの作品自体を知るのが遅かった。小学校高学年くらいに姉が持っていた原作漫画を借りて読んだのがきっかけだ。

よくテニスを知らなかった私はキャラクターの繰り出す技がどれほど超次元なものなのか理解しておらず、ツイストサーブや羆落とし、零式ドロップなど実際にある技だと思っていた。そんなわけあるか。
後にテレビでプロテニスプレイヤー達が至って普通に(素人のプレイではなくプロ同士のプレーなのはもちろん分かっている)プレーしているのを見て、あの漫画はおかしいのだと気付いたが。

テニスの王子様自体面白い漫画だとは思っていたが、今ほど私はこの作品に狂っていなかった。どうしてここまで興味を持ったのか?それは中学生の時、友人に勧められた空耳動画を見たことから始まる。

テニスの王子様で空耳と言ったらニコニコ動画での「あいつこそがテニスの王子様」や「有機VS人参」「カナダ☆レモン」を思い浮かべる人が多いのでは無いだろうか?正にそれである。私は「有機VS人参」を見てどうにかなるんじゃないかと思うほど笑った。腹がよじれるとはこの事かと痛感した。

余談だが「あいつこそがテニスの王子様」を見たのはもう少し後だった。
「ミュージカルのテニスの王子様って別の意味でこんなに面白いのか」と思った当時の私は他の動画も見てみようとニコニコ動画を漁った。今思えばこれは無断転載動画であり著作権を丸無視したものである為申し訳ないと思っている。(その分今はちゃんと公式にお金落としてるから許して)

調べていくうちに初代跡部景吾役こと加藤和樹の歌う「氷の世界」と出会った。
見た事ある名前と顔で「えっ!この人ミュージカルの跡部様やってたん!?!」と衝撃を受けた。(多分初めてこの人の顔見たのは地獄少女だったかホタルノヒカリだったか曖昧だが多分ドラマだったと思う。そのドラマ見てたのめっちゃ小さい時だったから顔や名前も朧気。顔と名前ハッキリしたのはREBORNのOPと声優やってるの見て)

とにかくめっちゃかっこよかった。

ジャニーズとDQぐらいしか興味無かった中学一年生の私を虜にした。
低音ボイスと造形美。漫画の跡部様だった。
美しさの中にどこか恐ろしさを重ね持つ帝王感が正に跡部様で一気にこの人と跡部様が好きになった。

不思議だと思う。跡部様もかっこいいし好きだとは思っていたけど、当時テニスの王子様で1番好きなキャラクターは海堂薫だったから。今もやけど。
そこからもっとこの人の跡部様が観たくなってTSUTAYA氷帝冬公演をレンタルして見た。びっくりするほど原作のキャラクターだった。

語彙の無い当時の感想を簡単にまとめようと思う。

跡部様がほんとに跡部様だ。歌が上手い。漫画で見た跡部様。インサイトした時の目付きが好き。多分この人の事この先一生好きやな。
・侑士は声もそっくり(第一声めちゃ驚いた)ちょっとミステリアスで色気があってモサっとしててモタモタした感じも何となく分かる。あとめちゃめちゃ顔似ててほんとハマり役って感じ。
・がっくんはあの原作のはちゃめちゃ元気っ子を再現出来る人この世にいるんやってびっくりした。めちゃめちゃアクロバティックでぴょんぴょん跳ねててとにかく可愛いがっくん。
・宍戸さんはテニミュ勧めてくれた子の推しだった。かっこいい。原作の男前な宍戸さんそのものだった。髪の毛ちぎる前は顔が整いすぎててなんか女の子みたいだなって思った。
・ジローちゃんは天真爛漫で自由気ままな雰囲気とほわほわしてポケーっとしたかわいさがそのままだった。ベンチで足バタバタさせてるの可愛い。あとめっちゃこの人(Takuya)色白やなって思った。
・ちょたは原作より宍戸さん宍戸さんって感じやなって思った。丸顔でワンコ感強くてかわいい。でもなんか滑舌ふにゃふにゃ。
樺地はめちゃめちゃめちゃめちゃ樺地そのものでびびった。オーディションとかじゃなくてこの人(わっしー)モデルに描いたんちゃうんかとも思ったぐらい体型とか雰囲気とか顔つきが似ててヤバヤバやんって思った。
・日吉はめっちゃ目おっきい!!原作はどちらかというとつり目で細っこいからこの日吉は可愛め日吉。でも動きがキレっキレで原作の古武術大好き日吉くんの和風な雰囲気とよく似てる。

だいたいこんな感じ。キャストの名前も全員よく分からないあやふやな状態で見たけど、それでも凄いクオリティの氷帝学園だと思った。

気が付けば私は氷帝学園至上主義になっていた。

海堂薫が大好きな事になんら変わりは無いけれど、学校全体で応援するなら氷帝学園。勝つのは氷帝!負けるの青学!こんな感じ。薫ちゃん氷帝学園入ったらええのにとか思った時もあった。今は青学だからこそ輝く海堂薫の良さに気付いたから全く思わないけど。あと滝さんと声被ってまうし。


話は少し逸れたが、兎にも角にも初代氷帝学園に魅せられた私は氷帝学園至上主義になったと共に他の代の氷帝学園を見ることが出来なくなってしまった。面倒な事に。

ある時友人に、そこまでテニミュにハマって尚且つ氷帝学園が好きになったならばと全国氷帝のDVDを貸してもらった。初めは加藤和樹率いる初代氷帝学園のメンバーが再び観られるものだと思っていたが、実際はそうではなかった。
貸してもらったのは氷帝AメンバーのDVDであり、跡部様と忍足侑士鳳長太郎のキャストが変更されたものだった。

キャストの変更を知らなかった私は加藤和樹が居ないことに少し落胆しつつも氷帝学園の試合が観られるならばとワクワクしながらDVDを再生した。
でもこれは私の大好きな氷帝学園ではなかった。初代のメンバーは確かに数人いるけれど何かが足りない。これは違う。と私の中でものすごい拒絶反応があった。結局私はそのDVDを最後まで見る事は出来ず罪悪感を感じながらも事情を話し、友人に返した。アンタ惚れ込みすぎやろって笑ってくれてたけど、今でも申し訳ないと思ってる。せっかく貸してくれたのにほんまごめん。

どうしてここまで自分の中で拒絶反応があるのか知りたくて氷帝冬公演のDVD(レンタルではなく購入したもの)を見た。
そこで初めて私は『加藤和樹の演じる跡部景吾が好きで、斎藤工の演じる忍足侑士が好きで、伊達晃二の演じる鳳長太郎が好き。そしてこれら初代氷帝メンバー全てがそろった氷帝学園が私を虜にしたんだ』と気付いた。

いても経ってもいられず、私は約2万円ほどする初代氷帝メンバー(ちょたは色々あってせとりのまま)が再び集結した東京凱旋公演の全国氷帝をお小遣いで購入した。ちょたがDKでなかったのは本当に残念だったが、色々過去の事もあるし仕方ないとそこは割り切った。(観ていくうちに初代メンバーに精一杯着いていこうとしているせとりのちょたも好きになっていきDKのちょたとはまた違った良さを感じてる。今では2人とも大好き。)

さぁ、いざ再生すると前よりも磨きのかかった和樹と工さんの本物っぷりと他の初代氷帝メンバーとの安心さ、そして歯車がようやく噛み合ったような安定さに私は初代氷帝から逃れられないのだと確信した。和樹と工さんが加わるだけでこんなにも違うのかとこの2人の重要さを改めて感じた。

1番それを感じたのはやはり歌だ。初っ端の「氷点下の情熱」
音程がブレない。低音が響く。しっかりハモっている。信頼を持って歌に集中することが出来る。「THE TOPII」では主旋律を跡部様だけが、他のメンバーがハモリをするという完璧なまでに氷帝学園テニス部のしくみを歌で表現しており、まさに阿吽の呼吸。これは一度聞いてみて欲しい。


また、このDVDは全力で私の涙腺をぶち壊しにくる。

後半に差し掛かりいよいよS1、リョーマ跡部様の試合では原作同様白熱した展開となる。氷帝のため楽しむテニスをやめ、勝ちにいくテニスをする跡部様を見て氷帝メンバーが気持ちを吐露する場面。
跡部ってあんな攻撃的なテニスだっけ」
タイブレークという曲でもそれらが垣間見える。
「本気モードの跡部。初めて見る攻撃力だ」「きっとギリギリのところでプレイしてるのさ」「もはや余裕が無くなっているのかもしれない」
これまでの試合では見せなかった跡部景吾の本気を今初めて見たそれぞれの想い。関東大会からずっと一緒に演じてきた初代氷帝のメンバーが歌うからこそのセリフに心をうたれる。

そしてカーテンコールが終わった後の「season」
これで泣くなと言う方がおかしい。しかもこのDVDに収録されているのは千秋楽の映像なので本当に最後のseasonなのだ。テニミュの中で最も好きなこの曲。初代氷帝学園の全てを詰め込んだような1曲で、噂によると三ツ矢さんが初代氷帝の為に作った歌なんだとか。DL3で初披露されたこの曲を六角公演でも聴くことができ、そしてもう一度復活したこのメンバーで歌って貰えるなんて夢にも思っていなかった。本当に嬉しかった。

そしてこのDVD最大の名シーンと言ってもいいほどの場面がくる。

加藤和樹の涙である。

ただでさえseasonでとんでもない顔面になっているのに、とどめのFGKSでの和樹の涙に私の涙腺は馬鹿になってしまった。
どんな時でも跡部景吾は泣かないからと涙を見せなかった彼。そんな彼の目に溜まった涙を見た時の気持ちと言ったらもう文章なんかでは表せない。

カメラワークもずるい。涙を溜めながらラケットを客席に向ける舞台上の和樹………と思ったら次の瞬間カメラが切り替わり、客席に降りていた工さんが逆に舞台上へラケットを向けているのだ。文字だけだと何がずるいのか伝わりにくいのだが、まるで2人がラケットを向き合わせているかのようなカメラワークになるのだ。実際どうなのか全景映像で確認したのだが、客席までカメラに収まっておらず、尚且つ全景映像は別の日の公演の映像であった為分からないままである。

……が涙でボッコボコの私に真実がどうであったかの判別などつかない。2人がアイコンタクトを取っているかのような映像。それだけで狂える。
そう。もうこの時点で私はテニスの王子様にそして初代氷帝学園に狂っていた。


これが今の私に繋がるきっかけと経緯である。
人は何かを好きになったきっかけを意外にも覚えていない事が多い。この先10年20年と人生を送る上で、それを忘れてしまわないよう、今一度ここに記録しておく。
稚拙な文章ではあるが、これをきっかけに1人でも初代氷帝学園に興味関心を持ってくれたならば嬉しく思う。